『永遠の旅人・神無月京介(1)【米俵リョウコ編】』第5章
国民的な熟女優・米俵リョウコが夢うつつの状態で、異世界の旅人・神無月京介と出会うの巻
第5章 別れの時
木蓮は表情を変えることなく言った。「しかし、旅人よ。油断は禁物ですよ。」
京介は木蓮の余裕ある態度になにか不安を感じ、振り返ってリョウコを見た。
なんと、リョウコはもう一人の木蓮に捉えられていた。
「しまった!」
どうやら木蓮は、京介に雷を落とした時に、二体に分裂していたようである。
「私の任務は終了しました。」
木蓮は静かに言った。京介は激怒した。
「俺の女に手を出すなぁ!!」
その瞬間、二体の木蓮は地獄の業火に包まれた。
木蓮は二体とも、炎の中で蒸発してしまった。
木蓮が消えたのは、京介による攻撃のためなのか、それとも任務が終了したためなのか、それは分からない。
京介はリョウコに駆け寄り、彼女を抱き起こして話しかけた。
「大丈夫ですか、リョウコさん!」
リョウコはすでに意識がもうろうとしていた。
「京介さん、私、あの世に行くんですか?」
京介はリョウコの状態を解析して言った。
「リョウコさんの精神は、どうやら現実の世界に転送されるようです。」
「私、現実の世界に戻ったら、京介さんに会えますか?」
「会うこと自体は可能ですが・・・リョウコさんは夢から覚めたら、夢幻郷での出来事をもう覚えていないでしょう。」
リョウコは残っている力を振り絞って言った。
「私、京介さんを・・・探し出して、必ず会いに行きますね。」
リョウコさんの精神が完全に転送されてしまうと、その姿体は跡形もなく消滅してしまった。
「リョウコさん・・・」
京介はただ一人、夢幻郷の川沿いの道の上でしばらくうずくまっていた。
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