『妖怪保護活動家・氷室忍(4)【妖魔・サキュバス】』第4章
妖怪保護活動家・氷室忍が、ヒルトン名古屋で妖魔・サキュバスを退治し損ねるの巻
第4章 名古屋の山ちゃん
氷室は名古屋の山ちゃんで、兵藤とビールを飲んでいた。手羽先を食べながら兵藤が言った。
「しかし、氷室。お前が妖怪対策課に情報提供したいとは。とうとう心を入れ替えたか。よかった、よかった。」
氷室はビールを飲みながら答えた。
「そういうわけではないんだが・・・私は元警察官でしかないからな。もうこれ以上、何もできないだろう。」
「せっかくの情報提供だが・・・市議会議員・小早川秀明氏はもともと、バリバリの人権派弁護士だからなぁ。警察も下手に動けんよ。」
氷室は手羽先を食べながら兵藤に言った。
「じゃあ・・・彼が腹上死してから、あの妖魔を退治するしかないのかなぁ。」
兵藤は真面目な顔をして言った。
「小早川氏もまさか、そこまで愚かではないだろう。我々がしばらく様子を見ていれば、捜査の端緒をつかめるだろう。」
「うまくいくといいけどなぁ・・・」
氷室はぼんやりとした表情でビールを飲んでいた。
・『妖怪保護活動家・氷室忍(4)【妖魔・サキュバス】』目次に戻る。