『永遠の旅人・神無月京介(1)【米俵リョウコ編】』第3章
国民的な熟女優・米俵リョウコが夢うつつの状態で、異世界の旅人・神無月京介と出会うの巻
第3章 肉体という監獄
「えぇ、あなたは肉体という監獄から一時的に抜け出し、今あなたの魂は自由になって、ここに来ることができたのです。現実は物質世界であり、ここは精神世界なのです。」リョウコは現実の世界で何があったのか、少しずつ記憶がよみがえってきた。
「そう・・・なんです。私、お酒を飲んで、お腹が痛くなって、薬を飲んで、意識を失って・・・」
「そうだったんですか。私は数年前、初めて夢幻郷に来て、そして現実世界に戻りました。その時に、なにか特殊な能力を得たようで、夢幻郷に自由自在に出入りできるようになったんです。」
「ここは夢の世界であり、生死の境・・・私は、どうなるんでしょうか・・・どうすればいいんですか?」
「心配することはありません。あの世に渡るにせよ、現実世界に戻るにせよ、自分が納得するまで考えればいいんですよ。ここで何千年過ごしても、現実世界に戻れば1秒も経過していないのです。私はこの事実を知って、最初は非常に驚きました。しかし、今はこれを利用して、無限の旅を楽しんでいます。」
「そうなんですか。それじゃあ、私も・・・」
その時、京介は、道の向こうから別の人影がやって来ることに気が付いた。
その人は小走りでこちらに向かってくるようだった。
京介はその人影を指差し、リョウコに言った。
「私は大丈夫なんですが、リョウコさんの場合、そんな悠長なことは言ってられないみたいですね。」
「えっ、あれは何ですか?」
「あなたが監獄から抜け出したことを感知して、システムがそのためのプログラムを作動させたようです。」
「システム?プログラムって何ですか?」
「監視官が脱獄者を・・・あななたを捕まえに来たようです。」
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