『妖怪保護活動家・氷室忍(1)【妖怪・センベロ】』第5章
妖怪保護活動家・氷室忍が、豊橋の広小路通りで妖怪・センベロを保護するの巻
第5章 妖怪保護活動家・氷室忍
「そうなんですか。それでは、その妖怪を封印した瓶は、どこかのお寺にでも預けるんですか?」氷室は答えた。
「いえ、こんな瓶に閉じ込めておいてはかわいそうです。東京とか、名古屋とか、大阪とか、どこかの大都市に行って放流します。」
「放流?・・・ですか・・・」
ハルカは、氷室が何かおかしなことを言っているようにも感じたけれど、助けてもらった恩人に対して、無遠慮に反論することは控えた。
「ところで、ハルカさん。さっき言ったホストクラブで遊んでみませんか?もしそういう興味があれば、ご紹介しますよ。」
「いえ、けっこうです・・・」
ハルカはこの男が、善人なのか悪人なのか、わけが分からなくなってしまった。
氷室は笑いながら言った。
「ハハハッ、他意はありませんよ。私はただ、友人の助けになりたいだけなんです。あなたも今日から、私の友人です。」
ハルカは改めてお礼を言った。
「氷室さん、本当にありがとうございました。」
「いえいえ、それではまた。」
氷室はハルカに軽く会釈すると、駅に向かって歩いていった。
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