『永遠の旅人・神無月京介(2)【大島ルリコ編】』第1章
大人気アイドルだった大島ルリコが霧深い山中で、異世界の旅人・神無月京介に救出されるの巻
第1章 暗い山道
ルリコは山道を歩いていた。不幸な出来事が重なり、ふさぎ込みがちだった彼女を、友人がハイキングに誘ったのだ。
数人の友人たちと一緒に、北関東の山を登ることになった。
山登りと言っても、そんなに大きくて高い山ではないので、みんな油断していた。
山の中腹まで登って来たところで、青空に黒雲が急に広がり、山道は夜のように暗くなった。
雨が降り出したので、みんなでカッパを来ながら相談した。
あともう少しで山頂だから、急いで山頂まで登ってしまい、そこでゆっくり休憩することになった。
みんな山頂を目指して、急ぎ足で暗い山道を登っていった。
大島ルリコは人気アイドルだった。
一時期はタレントとして、テレビで大活躍していた。
その後、なにか思うことがあったようで、アイドル活動を休止し、海外に留学したりした。
人気漫画家との交際など、スキャンダルと言うほどではないけれど、いろいろな噂はあった。
しかし、最終的には都内の実業家と結婚して、幸せに暮らしていた。
ところが、その夫が病に倒れ、急逝したのである。
しばらく彼女は、深い悲しみの底に沈み込んでいた。
そんな悲しみを癒やしてくれるのは、時間だけである。
時が経ち、最近になってようやく彼女は、友人に心を開いて話すことができるようになってきたのである。
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