『妖怪保護活動家・氷室忍(2)【妖怪・コンドーム】』第4章
妖怪保護活動家・氷室忍が、豊橋の松葉町で妖怪・コンドームを保護するの巻
第4章 警察の内部事情
氷室は兵藤に聞いた。「いつから尾行してたんだよ。」
「今日からだ。尾行初日に気付かれてしまうとは思わなかったよ。」
兵藤は氷室の警察官時代の同僚であり、今は愛知県警本部妖怪対策課の係長である。
「本店の係長様が何の用だ?」
兵藤は真面目な顔をして言った。
「忠告に来たんだよ。」
氷室は兵藤をからかって言った。
「なんだよ、てっきり、妖怪から市民を守る私の活動を顕彰しに、はるばる名古屋から来てくれたと思ったのに。」
「いや、そういうつまらない冗談を言い合いに来たわけじゃないんだ。お前のその妖怪保護活動、課内で問題になってるぞ。」
「保護した妖怪を放流するからだろうなぁ・・・」
氷室がつぶやくと、兵藤はさらに真剣な顔をして言った。
「お前、東京でも放流しただろう。東京で妖怪事件が発生して、その対応で妖怪対策課は大変だったんだ。噂だけど、愛知県警本部長が警視総監に呼び出されて、いろいろ言われたらしいぞ。」
氷室も真面目な顔をして言った。
「お前がそんな噂を真に受けるとはな。どうせ、本部長が警察庁での会議に出席するために東京出張したのを、噂好きの連中が尾ひれを付けて話しているだけだろうよ。」
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