『妖怪保護活動家・氷室忍(1)【妖怪・センベロ】』第1章
妖怪保護活動家・氷室忍が、豊橋の広小路通りで妖怪・センベロを保護するの巻
第1章 東三河
早瀬ハルカは国民的な女優である。最近、豊橋市に移住して暮らしている。
不動産に詳しい友人から、豊橋のマンションを薦められたからである。
確かに、東京都心のマンションと比べれば割安だった。
豊橋はほどほど都会でありながら、昔ながらの伝統や習俗が残る町で、街中もそれなりに暮らしやすいところであった。
ただ、一つだけ不安な点もあった。
東三河は、日本屈指の妖怪出没地域なのだ。
東三河に妖怪が出没するようになってから十年近く経つ。
最初のうちは、日本全国から妖怪目当ての観光客が来るようになり、みんな喜んでいた。
海外からの観光客も激増し、東三河経済を潤した。
しかし、その妖怪たちが人間に危害を加えるようになると事態は一変した。
観光客は来なくなり、来るのはそういう危険を顧みない迷惑系YouTuberだけになった。
東三河は普通の人々から、ますます敬遠される地域となった。
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