『妖怪保護活動家・氷室忍(4)【妖魔・サキュバス】』第3章
妖怪保護活動家・氷室忍が、ヒルトン名古屋で妖魔・サキュバスを退治し損ねるの巻
第3章 名古屋ヒルトン
氷室は名古屋ヒルトンの一室で待機していた。小早川氏が、最愛の彼女との最後の別れの場所として選んだホテルである。
「サキュバス退治か・・・久しぶりだな。」
氷室がつぶやいた。
日が暮れても彼女は姿を現さなかったが、深夜になってようやく姿を見せた。
氷室がサキュバスを狙って霊丸を発射しようとしたその時、小早川氏が彼女に覆いかぶさるように抱きついた。
「氷室さん、待ってくれ!彼女を殺さないでくれ・・・私は彼女を愛しているんだ。」
氷室はもう警察官ではない。依頼主がそう言うのであれば、どうすることもできない。
「分かりました。それでは失礼いたします。」
氷室は二人を部屋に残して出ていった。
その女は、氷室の目にはリングの貞子にしか見えなかった。
しかし、小早川氏の瞳には、絶世の美女が映っているのだろう。
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