『永遠の旅人・神無月京介(5)【久保田アキラ編】』第3章
西三河の美人市長・久保田アキラが奇妙な法廷で、異世界の旅人・神無月京介に弁護されるの巻
第3章 開廷
「ようやく被告人が出廷したか。」裁判長がつぶやいた。
「被告人は早く着席してください。」
左陪席の裁判官が市長に着席を促した。
「えっ・・・ここは・・・裁判所?」
誰かが手招きしているので、その人の隣の空席に着席した。
「あのー・・・ここはどこですか?」
市長を手招きした男が答えた。
「ここは夢幻郷の裁判所です。今からあなたの無間裁判が始まります。私はあなたの特別弁護人を引き受けた、神無月京介と申します。」
「えっ!裁判って・・・何の・・・今から?」
裁判長が発言した。
「これより被告人・久保田アキラの無間裁判を開始する。検察の主張を始めよ。」
検察官が立ち上がって発言した。
「まず、被告人・久保田アキラは、マサチューセッツ工科大学を卒業していないにもかかわらず、卒業したと言い張っております。これは真っ赤な嘘であり、検察としては看過できません。」
神無月は挙手して発言した。
「異議あり!裁判長、検察の主張こそ根拠がありません。久保田アキラはマサチューセッツ工科大学で学んだのです。みんなの卒業証書も存在します。」
検察官が反論した。
「それでは今、その卒業証書を提出してください。」
神無月はこれを拒否して言った。
「卒業証書の提出は拒否します。重要なのは卒業証書の有無ではないからです。」
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