『妖怪保護活動家・氷室忍(5)【妖怪・ラーメン次郎】』第3章
妖怪保護活動家・氷室忍が、友人から妖怪・ラーメン次郎を追い出したついでに仮説を披露するの巻
第3章 愚行権
ハルカは少し首をひねって氷室に聞いた。「でも、ラーメンばかり食べて、健康を害する人もいるじゃないですか。」
氷室は真面目な顔で答えた。
「誤解を恐れずに言えば、私は自由主義者で、人間には愚行権があると信じています。ラーメンばかり食べて、健康を害する人もいるし、そのことに気がついて節制する人もいる。医者やカウウンセラーの助けを借りて、人生を変えようとする人もいます。」
ハルカも真面目な顔で言った。
「でも、自分ではそれができない人もいるじゃないですか。」
氷室は微笑んで言った。
「それはそのとおりなんですが・・・まぁ、小難しい哲学の問題はさておいて、妖怪を退治してもこの問題を解決できないことは確かです。妖怪・ラーメン次郎、妖怪・焼肉食べ放題、妖怪・ファミチキ、妖怪ミスタードーナツ・・・きりがありませんよ。」
ハルカは、なんだか煙に巻かれたような気がしたけれど、反論できないので黙っていた。
「まぁ、立ち話もなんですから、どこか喫茶店で話しましょう。コーヒーぐらいおごりますよ。」
氷室はハルカを喫茶店に誘った。
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