『永遠の旅人・神無月京介(2)【大島ルリコ編】』第6章
大人気アイドルだった大島ルリコが霧深い山中で、異世界の旅人・神無月京介に救出されるの巻
第6章 後日談
「それで、そのルリコという女性とは、その後どうなったんだい?」夢幻郷の友人が京介に聞いた。
友人と言っても人間ではない。人間の言葉を話せるカエルである。
「いや、何も・・・名前も教えていないからね。そもそも、彼女は有名なタレントだから、私たちとは住んでいる世界が違うんだよ。」
「フフフッ。私たちは夢幻郷の住人だから、彼女とは住んでいる世界が違うからねぇ。」
「うるさいなぁ。君は夢幻郷の住人だけど、私はれっきとした現実世界の住人だよ。夢幻郷では、気ままに旅をしているだけだよ。まぁ、現実世界の人間に名前を教えたって、夢幻郷から出たら全て忘れてしまうんだから、確かにしょうがないよね。」
「夢幻郷を旅したって、私のようなカエルと話をするだけでは、しょうがないよねぇ。」
「あぁ、もう本当に、言うことがいちいちシニカルなんだよ、カエルのくせに。」
「フフフッ、私はただのカエルではありませんよ。夢幻郷のカエルですからねぇ。」
京介はルリコのことを思い出していた。
テレビで見たまんま、いや、それ以上に魅力的な女性だった。
再び夢幻郷に迷い込むことがないように、彼女の幸せを祈るばかりである。
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