『幽玄鉄道の夜(4)【湯谷温泉の人食い化け猫】』第3章
孤高の天才アーティスト・鬼瓦チヒロが、幽玄鉄道の旅人・草野崇と湯谷温泉で人食い化け猫を目撃するの巻
第3章 湯谷駅
チヒロは草野に答えた。「私は湯谷に行くんです。」
「温泉ですか、いいですねぇ。もうすぐ湯谷駅に着きますね。湯谷駅でしばらく停車するので、私も久しぶりに湯谷駅で降りて、湯谷温泉に入ろうかなぁ。」
草野がそう言うと、チヒロは気さくに答えた。
「私は構いませんよ。どうせ気ままな一人旅ですから。」
列車が湯谷駅に着くと、草野はチヒロと一緒に湯谷温泉に向かった。
湯谷は少し肌寒かったけれど、紅葉はまだこれから始まるようだ。
夜の湯谷にしては観光客が多かった。
チヒロが言った。
「こんな夜に、観光客がたくさん歩いていますね。」
草野も不思議に思いながら答えた。
「そうですね。こんな夜中に、おかしいですねぇ。」
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