『幽玄鉄道の夜(6)【伊良湖岬の人食い大イカ】』第5章
国民的な人気女優・蟻村カスミが、幽玄鉄道の旅人・草野崇と伊良湖岬で人食い大イカを目撃するの巻
第5章 人食い大イカ
草野とカスミは懸命に走った。後ろでは、ビルのように大きなイカが数匹、観光客をくわえては呑み込んで食べているようである。
「イカが人間を食べるなんて!」
カスミの顔は青ざめていた。草野はカスミに言った。
「幽玄鉄道まで逃げるんです!大丈夫、もうすぐです!」
二人は必死に走り続けた。
二人は駅にたどり着くと、そのまま幽玄鉄道に乗り込んだ。
座席に座り、呼吸を整えていた。
しばらくしてから、カスミは草野に聞いた。
「あの大イカたちは、なんだったんですか?あんなに大きくて、恐ろしい生き物がいるなんて。」
草野はカスミに言った。
「私にもよく分かりません。今まで無数のイカたちが、人間に食べられてきました。きっと、イカたちの怒りが、海の神ポセイドンの心を動かしたのでしょう。」
・『幽玄鉄道の夜(6)【伊良湖岬の人食い大イカ】』目次に戻る。