『幽玄鉄道の夜(1)【豊川稲荷の人食い大鬼】』第2章
国民的な人気女優・長沼マサミが、幽玄鉄道の旅人・草野崇と豊川稲荷で人食い大鬼を目撃するの巻
第2章 豊橋駅
晩秋である。だいぶ肌寒くなってきた。もう少し季節が進めば、冬のコートが必要になるだろう。
午前2時、草木も眠る深夜である。
草野は豊橋駅から幽玄鉄道に乗り込んだ。
久しぶりの小旅行だ。秋の澄んだ空気を楽しむことができるだろう。
草野が乗り込んだ車両は空いていたが、次第に乗客が増えてきた。
気付くと向かいの席に女性が座っている。
よく見ると、国民的な人気女優・長沼マサミだった。
私は驚いた。幽玄鉄道の列車に普通の人間が乗っている。
しかも、彼女はテレビや映画でおなじみの人気女優なのだ。
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