『スライムハンター・東一郎(5)【南信州の居酒屋】』第6章
鬼畜不倫で全てを失った人気俳優・東一郎が、南信州の居酒屋で別班のエージェントと打ち上げに興じるの巻
第6章 役者の人生
東は真面目な顔で木村に答えた。「私のような者に、役所の斡旋する仕事なんて務まりませんよ。しかし、私は、別班の極秘任務にかかわった人間ですからね。食いっぱぐれて、自暴自棄でおかしなことをしないよう、あなた方が心配してくれるのはありがたいことです。」
木村は笑って言った。
「ハハハッ。あなたは本当に食えない人だなぁ。参りました。」
東は微笑んで言った。
「でも、心配しないでください。役者の仕事も再開したんです、少しずつですけど。また一からやり直します。有名な炎上系YouTuberと一緒にアフリカを旅行する企画があるんで、しばらく夢の海外生活です。本当は、元嫁のアンナがいるバリ島に行ってみたいんですけどね。」
木村が感心して言った。
「あなたはやっぱり、本当にすごい人だ。また一ファンとして、あなたを応援することができそうですね。」
木村が右手を差し出すと、東は握手しながら言った。
「どうもありがとうございます。」
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