『エスパー・伊藤六郎(3)【弘末リョウコ編】』第3章
エスパー・伊藤六郎が新東名高速道路の事故で、国民的な人気女優・弘末リョウコと出会うの巻
第3章 二人の逃亡者
リョウコは伊藤に言った。「助けてくれてありがとう。あなたも逃亡者なのね。私は弘末リョウコです。研究所の強化人間で、発作的に反逆して、ここまで逃げてきたの。」
伊藤はリョウコに聞いた。
「あなたも普通の人間として、静かに暮らしたいのですか?」
リョウコは首を振って彼に答えた。
「いいえ・・・私は今、こんな状況に身を置いていますが、芸能人です。組織から逃げ切ったとしても、今さら一般人として静かに暮らすことはできないでしょう。」
伊藤は驚いて彼女に聞いた。
「研究所に戻るのですか?」
リョウコは皮肉な笑みを浮かべて彼に答えた。
「そうね。研究所に戻った上で、今後の待遇について交渉してみます。申し訳ないけど、今日の出来事は組織に報告することになると思います。」
伊藤は微笑んで言った。
「そうですか、残念です。私の孤独な逃避行に、素敵な同行者ができたと思ったのに。」
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