『幽玄鉄道の夜(4)【湯谷温泉の人食い化け猫】』第5章
孤高の天才アーティスト・鬼瓦チヒロが、幽玄鉄道の旅人・草野崇と湯谷温泉で人食い化け猫を目撃するの巻
第5章 人食い化け猫
草野とチヒロは必死に走り続けた。後ろではバスのように大きな化け猫たちが、逃げ遅れた観光客を食べているようだった。
化け猫たちは人間を捕まえると、まず頭を噛み砕き、その後にゆっくりと食事を楽しんでいる。
二人の後ろにも化け猫が迫ってきた。
草野は化け猫の顔に、七味唐辛子の入れ物を投げつけた。
食堂から逃げ出す時に、とっさにポケットに入れたものである。
目に唐辛子が入った化け猫は、たまらず地面に転げ回っている。
その間に二人は幽玄鉄道に乗り込んだ。
全力で走り続けたので、座席に座った後もしばらく話ができなかった。
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