『幽玄鉄道の夜(4)【湯谷温泉の人食い化け猫】』第6章
孤高の天才アーティスト・鬼瓦チヒロが、幽玄鉄道の旅人・草野崇と湯谷温泉で人食い化け猫を目撃するの巻
第6章 次の駅へ
ようやく落ち着いてから、チヒロが草野に言った。「私、湯谷の旅館で一泊するつもりだったんですけど、次の駅でホテルを探すことにします。」
草野はチヒロに答えた。
「そうですね。その方がいいでしょう。」
チヒロが草野に聞いた。
「あの化け猫はなんだったんでしょうか?初めて見ました。すごく怖かったです。」
草野は答えた。
「この辺りの山には、いろいろな獣がいるんです。時々山から人里へ降りてきて、ちょっとした騒動になるんですが・・・さすがに、あんな凶暴なやつは初めて見ました。」
草野は車窓から景色を眺めた。鬱蒼とした林が延々と続いていた。
この林の向こうにも、いろいろな獣がいるのだろうか。
草野がチヒロに目を向けると、彼女も車窓から暗い林を眺めていた。
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