『魔獣送還師・柊慎一郎(1)【菱田ユリコ編】』第2章
魔獣送還師・柊慎一郎が女優・菱田ユリコの前で、豊橋のまちなか広場に出没した巨大熊を送還するの巻
第2章 巨大熊
イベント開催中の広場には大勢の人がいた。みんなパニックになり、いろいろなことを喚きながら逃げ惑っている。
ユリコは広場の奥に目をやった。
「えっ・・・?!」
ユリコは驚愕した。熊がいる。
ただの熊ではない。立ち上がると2階に手が届くほどの巨大熊だ。
異様な妖気を放ち、目は赤く光っている。
巨大熊はのそのそと、ユリコの方に歩いてくる。
「危ないですよ。下がっていてください。」
ユリコは横から誰かに話しかけられた。
「あっ・・・はい、すいません。」
男は巨大熊に向かって右手をかざし、おもむろに呪文のような言葉を唱え始めた。
「送還魔法、発動、一・二・三・フィニッシュ!」
巨大熊は硬直したように動かなくなり、その足下の地面に開いた穴にズブズブと沈んでいった。
ユリコは目を見張り、ただ唖然とするばかりであった。
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