『幽玄鉄道の夜(1)【豊川稲荷の人食い大鬼】』第3章
国民的な人気女優・長沼マサミが、幽玄鉄道の旅人・草野崇と豊川稲荷で人食い大鬼を目撃するの巻
第3章 豊川稲荷
草野は驚きをそのまま言葉にした。「驚いた、人間の乗客だ。しかも、有名人だ。」
マサミは草野の言葉に反応し、少し間を置いてから答えた。
「はじめまして、長沼マサミです。」
草野は少し照れてしまった。
「あっ、失礼しました。私は草野崇です。この鉄道のことは、妖怪博士の父から聞きました。それで時々、この鉄道を利用して旅を楽しんでいます。」
「えっ!妖怪博士って、あの草野博士ですか?私、テレビ番組でご一緒したことがありますよ。」
「そうですか、父がお世話になりまして・・・ところで、マサミさんはどちらまで行かれるんですか?」
「私は豊川駅で降ります。」
「豊川駅ですか。あそこでしばらく停車しますから、私も降りて、久しぶりに豊川稲荷に参拝してこようかなぁ。」
「いいですね。じゃあ、一緒に行きましょう。」
草野はマサミと豊川駅で降りることにした。
・『幽玄鉄道の夜(1)【豊川稲荷の人食い大鬼】』目次に戻る。