『幽玄鉄道の夜(7)【東栄町の人食い大イノシシ】』第6章
神スイングの人気タレント・稲妻アミが、幽玄鉄道の旅人・草野崇と東栄町で人食い大イノシシを目撃するの巻
第6章 次の駅へ
草野とアミは列車の座席に座ると、しばらくの間、呼吸を整えていた。落ち着いてから、アミが草野に言った。
「恐ろしい大イノシシでしたね。」
草野はアミに言った。
「アミさん、さっきはありがとうございました。アミさんの豪速球に命を救われました。」
アミは照れながら言った。
「いえ、もう無我夢中で投げただけなんです。それにしても、あの大イノシシは、一体なんだったんでしょうか?」
草野は真面目な顔でアミに答えた。
「よく分かりません。山の神がお怒りになり、山の主を遣わしたのかもしれませんね。」
アミは草野に言った。
「山の神ですか・・・私、東栄町の旅館で一泊するつもりだったんですけど、次の駅で宿泊施設を探すことにします。」
草野は彼女に答えた。
「そうですね。その方がいいでしょう。」
列車が動き出した。草野は車窓から景色を眺めていた。
月明かりに照らされて、東栄の美しい山々を見ることができた。
幽玄鉄道の車窓から見える景色は、いつまでも、どこまでも、美しく幻想的なのである。
・『幽玄鉄道の夜(7)【東栄町の人食い大イノシシ】』目次に戻る。