『エスパー・伊藤六郎(7)【昔田ミオ編】』第6章
エスパー・伊藤六郎が名古屋の栄にある光の教会ビルで、ハルサメ研究所の能力者から昔田ミオのことを説明されるの巻
第6章 精神体
伊藤はリホに聞いた。「消失って・・・彼女、失踪してしまったんですか?」
リホは彼に答えた。
「いえ、消失したんです・・・光の教会の用語で言えば精神体になったのです。私たちは、一種の霊体のようなものだと理解していますが・・・昔田ミオはそれ以来ずっと、光の教会を守り続けているのです。」
伊藤は驚愕した。
「ハルサメ研究所が手を出せないほどの能力者・・・が、精神体となって教会を守っている?」
リホは彼に言った。
「ハルサメ研究所から光の教会に申し入れ、今日はあなたに事情を説明しにきました。私たちも光の教会と事を構えて、不測の事態を惹起したくありませんので。」
リホの話が終わった後に、伊藤はビルを出て栄の街を歩いていた。
ふと気付くと、美しい女性がこちらを見ている。彼は直感で分かった。
「あぁ、彼女が昔田ミオさんか・・・」
伊藤がそうつぶやくと、彼女は微笑んで何かつぶやいた。
「ミサキへ・・・」
そう聞こえた瞬間、彼女の姿は消えてしまった。伊藤は呆然と、その場でただ立ちすくんでいた。
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