『魔獣送還師・柊慎一郎(1)【菱田ユリコ編】』第3章
魔獣送還師・柊慎一郎が女優・菱田ユリコの前で、豊橋のまちなか広場に出没した巨大熊を送還するの巻
第3章 柊慎一郎
先ほどユリコに話しかけた男は、微笑んでユリコに言った。「もう大丈夫ですよ。」
呆然としていたユリコは、気を取り直して男にお礼を言った。
「あ・・・ありがとうございます。」
男はユリコに名乗った。
「あぁ、失礼しました。私は柊慎一郎と申します。」
ユリコも柊に名乗った。
「いえ、こちらこそ失礼しました。私、菱田ユリコと申します。」
柊は少し驚いて言った。
「あぁ、あの菱田ユリコさんでしたか。豊橋に来たのは旅行か何かですか?驚いたでしょう、あんなものを目撃したんですから。」
ユリコは柊に率直に聞いた。
「あのー、柊さん。さっきの熊はなんだったんですか?しかも、あなたが呪文を唱えると、地面に沈んで消えてしまいました。本当にびっくりしました。」
柊はユリコに言った。
「立ち話もなんですから、近くの喫茶店でコーヒーでも飲みながらお話しましょう。」
・『魔獣送還師・柊慎一郎(1)【菱田ユリコ編】』目次に戻る。