『幽玄鉄道の夜(1)【豊川稲荷の人食い大鬼】』第4章
国民的な人気女優・長沼マサミが、幽玄鉄道の旅人・草野崇と豊川稲荷で人食い大鬼を目撃するの巻
第4章 人食い大鬼
草野とマサミは駅から豊川稲荷に歩いていった。平日の深夜なのに参拝客がたくさんいた。
豊川稲荷に着いたけれど、正門から本殿までものすごい人である。
参拝客はみんな、牛歩のように少しずつ進んでいく。
「すごい人ですね。なかなか進まないですよ。」
草野が言うと、マサミが答えた。
「えぇ、まさかこんなに混んでいるとは思いませんでした。」
しばらくすると前の方から悲鳴が聞こえる。
前方を確認すると、本殿の手前に大きな赤鬼が立っている。
ビルのように大きな赤鬼は、参拝客を指でつまみ上げては、口に放り込んでバリバリ食べているようである。
「大変だ、人食い鬼です。逃げましょう!」
草野はマサミの手を引いて逃げ出した。
多くの人がパニックになり、一部でドミノ倒しが発生している。
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