『幽玄鉄道の夜(6)【伊良湖岬の人食い大イカ】』第6章
国民的な人気女優・蟻村カスミが、幽玄鉄道の旅人・草野崇と伊良湖岬で人食い大イカを目撃するの巻
第6章 次の駅へ
カスミはため息をついて言った。「海の神のせいなのか、気候変動のせいなのか、なにか科学的な原因があるのか。原因が分からないと、不気味で恐ろしいですね。」
草野はカスミに答えた。
「そうですね。海の近くでは、気をつけないといけませんね。」
カスミは草野に言った。
「私、近くのホテルで一泊するつもりだったんですけど、次の駅でホテルを探すことにします。」
草野はカスミに言った。
「その方がいいでしょう。」
列車が動き出した。
車窓からは、月明かりに照らされてキラキラ輝く、美しく幻想的な海を見ることができた。
さっきの大イカたちはまだ暴れているのだろうか。
(もしかしたら、イカだけでなく、いろいろな種類の海洋生物が巨大化しているのかもしれない。)
草野は、静かにきらめく海を眺めながら思った。
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