『東三河今昔【創作】物語集(10)【水守カオリ編】』第1章
東三河の文化会館でコンサートを開催するご当地ソングの女王が、豊川で河童にさらわれたけれど霊能探偵に救出されるの巻
第1章 漁協の理事
今は昔、東三河の河川には河童がいた。豊川の河童は凶暴なことで有名で、川辺で人間を捕まえては、水中に引きずり込んだ。
水中に引きずり込まれた人間は、河童に内臓を食われて死んでしまうのだ。
東三河の霊能探偵・神谷龍之心は、漁協の理事・岸田と話していた。
「河川にも漁協というものがあるんですね。今まで知りませんでした。お恥ずかしい。」
神谷がそう言うと、岸田は笑って言った。
「ハハハッ。地元でも川から遠い集落だと、漁協の存在を知らない人もいますよ。しかし、河川やその資源管理は重要なんです。特に、この地方の川にはアユやアマゴがたくさん生息していますから、その漁を管理して豊富な資源を保全しないといけません。」
神谷は恐縮して言った。
「いや、すいません。それで、河童の話なんですが、本当なんですか?」
岸田は河童の話を詳しく説明した。
「はい。目撃者が数人いるんです。彼らが示し合わせて嘘をついているとは思えません。なので、彼らが目撃した河童のような獣が、流域のどこかに隠れて生息している可能性があるんです。」
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