『東三河今昔【創作】物語集(10)【水守カオリ編】』第3章
東三河の文化会館でコンサートを開催するご当地ソングの女王が、豊川で河童にさらわれたけれど霊能探偵に救出されるの巻
第3章 ご当地ソングの女王
岸田は困ったような顔で神谷に答えた。「それが、豊川でのイベントは水守さんからのご要望なんです。今回、彼女が披露する東三河の曲の重要な歌詞として、豊川が出てくるそうなんです。」
神谷はため息をついて言った。
「はぁー、そうですか。漁協の理事としては、豊川には恐ろしく凶暴な人喰い河童がいるので近寄らないでくださいとは言いたくないと。」
岸田は自己弁護するように言った。
「いえ、人命が第一なのは分かっています。しかし、警察に相談しても動いてくれないんです。」
神谷はあきれて言った。
「あぁ、なるほど。河童は絶滅したと、県令が宣言してしまいましたからねぇ。」
岸田は真面目な顔でキッパリと言った。
「ですから、この問題は当面、漁協で対応するしかありません。単なる噂話として放置して、犠牲者が出たら大変です。それで・・・」
神谷は、漁協の理事の依頼を理解して言った。
「とりあえず、今回のイベントは霊能探偵の警備の下、開催したいということですか・・・分かりました。河童事件は霊能探偵の守備範囲です。慎んでお引き受けいたします。」
岸田は喜んで言った。
「ありがとうございます。頼りにしていますから。よろしくお願いしますね。」
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