『東三河今昔【創作】物語集(11)【朝火ナオ編】』第4章
謎の火炎師・朝火ナオが東三河のとある集落で秘密儀式・火おんどりを執行し、伝説の不死鳥・フェニックスを召喚するの巻
第4章 火の巫女
火おんどりの会場の中心に立つ火の巫女は、参加者に指示を出した。「松明に火を点けよ!」
会場の四隅に立てられていた松明に火が灯された。
会場の真ん中には、キャンプファイヤー用の大きなやぐらが組まれていた。
火の巫女は右手に松明を持ち、すでに燃えている四隅の松明の一つに近付けて火を移した。
その後、彼女は、四隅の松明を半時計回りに順番に巡り、何か呪文を唱えている。
そして、それから中央のやぐらまでおもむろに歩いていき、これに点火した。
最初、火は小さかったが、やがて大きな炎となった。燃え盛るやぐらの炎を恍惚の表情で眺めながら、彼女は言った。
「我は火炎師・朝火ナオ!今ここに、古の火炎術の復活を試みん!!」
ナオはやぐらの炎に両手をかざした。
水島と神谷は目を凝らして、一連の儀式を観察していた。
神谷は燃え盛るやぐらの炎を、固唾を呑んで見守っていた。しかし、ナオがこれに両手をかざした瞬間、駆け出した。
「まずい!よく分からないけど、恐らくとんでもない術だ!!」
水島は神谷の行動に驚いたが、すぐに彼を追って駆け出した。
「神谷さん!気を付けてください!!」
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