『東三河今昔【創作】物語集(11)【朝火ナオ編】』第6章
謎の火炎師・朝火ナオが東三河のとある集落で秘密儀式・火おんどりを執行し、伝説の不死鳥・フェニックスを召喚するの巻
第6章 三遠の伝説
神谷は水島に言った。「あのフェニックスをどうするかは、後で考えましょう。とにかく彼女を、あの火炎師を現行犯で逮捕しましょう!」
二人はナオの前まで走っていった。ナオは水島に言った。
「火炎師が術を使ったので、逮捕しに来たんですね。」
水島は彼女の雰囲気に気圧されていたが、気を取り直して告げた。
「あなたはたった今、火炎師の術で魔獣を召喚しました。逮捕します。」
ナオは素直に水島に逮捕された。
逮捕されたナオは、フェニックスの召喚という目的を達成し、満足しているようだった。
しばらく、夜空をグルグル旋回していたフェニックスは、やがて大きく羽ばたきながら山の向こうへ飛んでいった。
神谷はナオに聞いた。
「私は霊能探偵として同行したんですが、あのフェニックスの件、どう処理したらいいんですかね?」
ナオは微笑んで言った。
「人の手には余るでしょう。三遠がどんなに近代化したとしても、フェニックスの伝説は永遠なのです。」
松明ややぐらの火は弱くなって、闇夜が徐々に辺りを取り込んでいく。
月にかかる雲はなく、澄んだ夜空に輝く星がとてもきれいな夜だった。
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