『東三河今昔【創作】物語集(12)【玉林編】』第1章
乳岩峡でハイキングしていた人気タレント・玉林が痴漢に遭い、地元の人間と霊能探偵が犯人を逮捕するの巻
第1章 乳岩峡
今は昔、東三河にはスケベでどうしようもない男しかいなかった。そんな男たちの邪念が自然環境にも影響を及ぼし、山の岩がオッパイの形になるほどだった。
オッパイへの飽くなき執念というものは、まさに怨念と言ってもよいのかもしれない。
そこは乳岩峡として有名で、今では県内外の登山客が訪れる観光スポットとなっている。
東三河の霊能探偵・神谷龍之心は乳岩峡の近くにある集落の亀頭と話していた。
「いえ、亀頭さんのお話を信じていないわけではないんです。乳岩峡の周辺で痴漢事件が多発し、警察や役場も防災行政無線などで注意喚起していますから。しかし、それを乳岩に宿る怨念のせいだと言うのは、少々乱暴な推論ではないでしょうか。」
亀頭の話を一通り聞いた神谷がそう感想を述べると、亀頭は気色ばんで反論した。
「神谷さんは東三河随一の霊能探偵だとお聞きして、私は田舎の集落からはるばる街まで下りてきたんですよ。警察署や役場の連中みたいなこと言わないで下さいよ!」
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