『東三河今昔【創作】物語集(14)【葦岡リホ編】』第3章
東三河の山で道に迷った猟師と霊能探偵に、山小屋の葦岡リホがポンポコリンラーメンを振る舞うの巻
第3章 一本道の林道
星野と神谷は一緒に山に入った。二人は整備された林道を黙々と登っていった。神谷は星野に言った。「よく整備された林道ですね。」
星野が神谷に答えた。
「えぇ、この林道は一本道なんです。この道を歩くだけなら迷いようがないんです。それでも迷子になる者が出るんです。不思議な話ですよ。」
そんな話をしながら、二人は林道をどんどん進んでいった。
二人が林道を登り始めてから1時間ほどが経った。星野が不安げにつぶやいた。
「おかしいな・・・」
神谷は星野に聞いた。
「どうしたんですか?」
星野が狼狽して言った。
「私が猟のために利用している細い山道があるんです。それが見当たらないんです。こんなに遠くなくて、私の足なら20〜30分なんです。見落とすはずもないし・・・」
神谷は同行者として星野に提案した。
「星野さんを信じていないわけではないんですけど、万が一ということもあります。ここは一旦、来た道を引き返しましょう。」
星野は素直に同意した。
「そうですね。今日の主たる目的は神谷さんの調査ですから。そうしましょう。」
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