『東三河今昔【創作】物語集(9)【山多ユウ編】』第6章
東三河の山でハイキングしていた元人気モデル・山多ユウが妖怪・山ガールにさらわれ、地元の猟師と霊能探偵に救出されるの巻
第6章 山犬の召喚
神谷はとっさに地面師の技を使った。しゃがんで地面に右手を着けて呪文を詠唱した。「この山の土地を通して命ずる。山の魔獣よ!あの山ガールを喰い殺せ!!」
その瞬間、地面に大きな影が現れ、そこから大きな山犬が躍り出た。さすがの山ガールも怯んで立ち止まった。
巨大な山犬は一瞬で山ガールの頭を噛みちぎり、倒れたその体を食い尽くした。
山犬は山ガールの体を平らげると、地面に再び現れた影の中に沈むように姿を消してしまった。
「たっ・・・助かった。神谷さん、ありがとうございます。」
森田がそう言うと、神谷は言った。
「森田さん、山小屋に行きましょう。被害者がまだ殺されていなければよいのですが。」
二人が山小屋の中を覗くと、そこには縄で縛られたユウが必死にもがいていた。森田は安堵して言った。
「間に合ったようですね。よかった。」
神谷は山小屋の中を見て、気分が悪くなった。
台所と思われる場所には、解体した血だらけの肉塊が無造作に転がっていた。神谷はつぶやいた。
「あれは・・・何の肉だろう・・・」
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