『東三河今昔【創作】物語集(7)【山野内スズ編】』第5章
名古屋に向かう暴走列車の中で、風魔の術師・山野内スズによる魔獣退治を東三河の霊能探偵が目撃するの巻
第5章 事情聴取
暴走列車の件は、その後の事情聴取の方が大変だった。神谷たちは名古屋駅で降りると、そのまま警察署に連れていかれた。
そこで日が暮れるまで事情聴取され、担当警察官による報告書の作成に付き合わされることとなった。
夕暮れにようやく解放された神谷は、スズに言った。
「大変な目に遭いましたね。用事があって、ただ汽車に乗っただけなのに。」
スズは微笑んで言った。
「そうですね。魔獣退治は一瞬だったのに、事情聴取は数時間かかりましたね。」
神谷は彼女に言った。
「でも、スズさんにお会いすることができて、よかったです。噂には聞いていましたが、まさか本物の風魔の術を見ることができるとは、夢にも思いませんでした。」
スズは笑って言った。
「フフフッ。あなたが優秀な霊能探偵さんだとは知りませんでしたので。余計なことをしました。」
神谷は恐縮して言った。
「いえ、とんでもない。あんな炎の魔獣をどう処理すればよいものか、困惑して立ち尽くしていたんです。」
「それではさようなら、神谷さん。お互いそれなりの術師ですから、またどこかでお会いすることもあるでしょう。」
彼女はそう言うと、名古屋の街中に歩いていった。彼女は今日、名古屋の友人と旧交を温めるために来たそうである。
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