『東三河今昔【創作】物語集(2)【能念レナ編】』第6章
東三河の遊郭に売られた人気タレント・能念レナは、霊能探偵による説得もむなしく、悪魔将軍として闇に消えるの巻
第6章 もしも世界が終わる前に
腰を抜かして道の片隅で震えていたYOUがようやく立ち上がった。彼女は神谷に聞いた。「恐ろしい・・・なんて恐ろしいことを。この世はあの悪魔に滅ぼされてしまうんですか?まだやりたいことが・・・このまま死んだら、未練と後悔だけが残ります!」
神谷は彼女に答えた。
「YOUさん、悪魔の言うことを真に受けてはいけませんよ。世界の終末が来るとだまされて、慌てて全財産を使って遊興にふけるなんて、愚かなことです。」
YOUは恥ずかしそうに神谷に言った。
「それはそうですけど・・・神谷さんならどうします?もしこの世界が滅亡してしまうなら。」
神谷は笑って答えた。
「もし本当に世界が終わるなら、あなたの遊郭に行きますよ。おいしい料理を食べて、好きなだけ酒を飲んで、美しい女性たちに有り金全部ばらまいて遊びます。」
YOUは嬉しそうに言った。
「フフフッ。神谷さん、世界の終末を待つ必要なんてないじゃないですか。たまには遊びにきてくださいよ。」
ふと見上げると、明かりの灯った遊郭が美しく輝いていた。夜の闇に消えた悪魔の行方はそれ以来、誰も知らない。
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