『東三河今昔【創作】物語集(3)【新柿ユイ編】』第5章
東三河を旅行中の人気女優・新柿ユイは、妖怪・柿太郎にさらわれ、霊能探偵に救出された直後に大爆発を目撃するの巻
第5章 柿の実ゴロゴロ
神谷と柿野が乗る軽トラは柿太郎を追い続けた。柿太郎は自転車よりも速いが、自動車よりも遅いスピードで走り続けている。神谷は柿野に言った。
「柿太郎が彼女をさらった理由が分かりました。多分、彼女のバッグに柿がたくさん入っているんですよ。」
柿野は言った。
「なるほど、そういうことか!」
神谷は軽トラの窓を開け、箱乗りの姿勢でユイに向かって叫んだ。
「柿を捨てろぉおお―――!!柿を捨てろぉおお―――!!柿を捨てるんだぁああ―――!!!」
ユイは追いかけてくる軽トラに望みをかけてただ祈っていたが、神谷の叫び声を聞いてハッとした。
「あぁっ!そうだ!!柿だ!!!」
ユイはバッグを開けて、中の柿を全部ぶちまけた。
ドサッ!ドサッ!ドサッ!ゴロゴロゴロ・・・ゴロゴロゴロ・・・ゴロゴロゴロ・・・
ユイがぶちまけたたくさんの柿は、そのまま道路に転がった。
柿太郎はそれを見ると、彼女を地面に下ろし、道路に転がっている柿を食べ始めた。
柿野は軽トラを停めた。神谷は軽トラから降りてユイに駆け寄った。
「大丈夫ですか?」
神谷の声に彼女が答えた。
「はい、大丈夫です。ありがとうございます!」
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