『東三河今昔【創作】物語集(1)【佐々本ノゾミ編】』第5章
霊能探偵・神谷龍之心が、人気女優・佐々本ノゾミの依頼により、その夫・渡辺健の不浄地獄からの救出を試みるの巻
第5章 不浄地獄
神谷はノゾミに真剣な表情で告げた。「助け出す方法はあります。しかし、成功するかどうかは分かりません。」
ノゾミは涙を流しながら彼に言った。
「お願いします。どうか夫を、健さんを助けてください。」
神谷は彼女に答えた。
「分かりました。それでは今から地獄に行きましょう。私の手を握り、目を閉じてください。」
神谷は彼女に右手を差し出した。ノゾミは彼の右手を握り、目を閉じた。
しばらく二人は静かに瞑想を続けた。ノゾミは睡魔のような、何か不思議な感覚に襲われた。
意識がどこかに飛んでいくような感じである。神谷が彼女に言った。
「目を開けてください。」
ノゾミは目を開いた。そして驚愕した。眼下に恐ろしい地獄が見えるのだ。神谷は彼女に説明した。
「下に見えるのが不浄地獄です。あの地獄の底で健さんは今、もがき苦しんでいます。」
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