『東三河今昔【創作】物語集（１）【佐々本ノゾミ編】』第２章

霊能探偵・神谷龍之心が、人気女優・佐々本ノゾミの依頼により、その夫・渡辺健の不浄地獄からの救出を試みるの巻

第２章　多目的トイレ不倫事件

　予定通り、午後に依頼主がやって来た。依頼主はあの人気女優・佐々本ノゾミである。
まずは依頼主の話を聞くことになった。
「東京にも評判のよい探偵事務所がたくさんあるでしょう。なんでまた、わざわざ東三河の探偵事務所に依頼しようと思われたのですか。やはり、普通の事件ではないということでしょうか？」
神谷がそう聞くと、ノゾミは事件について語り出した。
「はい、実は、不思議と言いますか、何と言えばいいのか・・・怪奇事件なんです。夫の渡辺健の事件はご存じでしょうか？」

彼女の夫は、人気お笑いコンビ・暗邪宗の渡辺健である。
彼はちょっとしたスキャンダルのために、今は謹慎中ということになっていた。
神谷は一般に知られている情報について話した。
「はぁ、まぁ、報道されていることしか知りませんが。渡辺さんは反社のハニートラップにひっかかり、どこかのビルの多目的トイレで不倫をしたと。そして、そのまま拉致されたのか誘拐されたのか、忽然と姿を消してしまった。世間に顔向けできないので雲隠れするために自ら失踪したんだと、口さがない人々は噂していますね。」

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