『東三河今昔【創作】物語集(7)【山野内スズ編】』第2章
名古屋に向かう暴走列車の中で、風魔の術師・山野内スズによる魔獣退治を東三河の霊能探偵が目撃するの巻
第2章 暴走列車
汽車が始発駅から発車してから、もう30分以上経っていた。この汽車はなぜか、特急でもないのに途中の駅で停車しない。途中の駅で降りる予定の乗客たちが騒ぎ出した。乗客たちのクレームを受けた車掌が、車内放送で演説を始めた。
「蒸気機関車ができて、各地で鉄道が敷設され便利な世の中になった。お前たち乗客は、この便利な世の中を満喫していることだろう。しかし、この便利な世の中を支えているのは、鉄道会社に安月給でこき使われる我々、乗務員だ!」
怒った乗客たちが叫びだした。
「いい加減にしろよ!どうでもいいから駅で停車しろ!!」
乗客の怒号を無視するように、車掌の演説は続いた。
「お前たちは日勤教育を味わったこともないだろう。そして、我々の苦しみはそれだけではないのだ!今日、この汽車を走らせている私、車掌と、運転士、そして機関士は、偶然にも、3人とも借金で苦しんでいる。この世は地獄だ!!地獄は死後の世界にあるのではない。この世にあるのだ!!!」
神谷は驚いて言った。
「大変だ!連中、命をかけたリベンジ退職をするつもりだ!!」
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