R7年度第1回高認物理基礎大問4解説
大問4
雨粒の落下について、AさんとBさんが次のように会話をしている。Aさん「雨雲は、地表面からおよそ2000~7000mの高さにあるから、地表面に達するときには、雨粒はとても速くなりそうだけど、どのぐらいの速さになるのだろう?」
Bさん「地表面から2000mの位置にある雨雲から自由落下したとすると、地表面に達するときの速さは【ア】m/sになるね。」
問1【自由落下】
上の会話文中の【ア】にあてはまる数値として正しいものはどれか。ただし、重力加速度の大きさを$10\mathrm{m/s}^2$とし、空気抵抗の影響は無視する。
・$\dfrac{1}{2} \cdot 10 \cdot t^2 = 2000$
$5t^2 = 2000$
$t^2 = 400$
$t = 20$
$10 \times 20 = 200$(m/s)
Aさん「でも、雨粒の速さを調べてみると、直径0.5mmの雨粒の終端速度は約2~3m/sで、直径3.0mmの大きな雨粒になると、終端速度は約7~8m/sになるみたいだよ。
Bさんが求めた速さと違ってしまうのは、実際には空気抵抗の影響があるからだね。」
Bさん「終端速度というのは、落下中の雨粒の加速度が0になって、速さが一定の大きさになるときの速度のことだね。」
問2【雨粒の終端速度】
終端速度について説明した次の文中の空欄にあてはまる語句の組合せとして正しいものはどれか。雨粒は落下を始めると速さが増す。
空気の抵抗力は物体の速さが増すと大きくなるので、雨粒の速さが徐々に大きくなると、やがて雨粒にはたらく【重力】と空気の抵抗力がつりあうようになる。
すると、雨粒にはたらく力の合力が0になり、雨粒の運動は【等速直線運動】になる。
この速度を終端速度と呼ぶ。
Aさん「大きい雨粒は質量が大きいから、終端速度が大きくなると考えて良いのかな?」
Bさん「それでは、形を変えずに質量を変えて実験をしてみようよ。」
AさんとBさんは、空気抵抗を受ける落下運動について、実験を通して理解を深めることにした。 AさんとBさんは、アルミカップが落下するようすをスマホで撮影し、そのデータをもとに、手をはなしてから床に達するまでの0.1sごとのアルミカップの位置を示した図1をつくった。
なお、手をはなした瞬間が時刻0sである。
問3【力学的エネルギー】
図1から読み取ることができる内容として正しいものはどれか。① 時刻0.8sの1枚だけのアルミカップと時刻0.5sの5枚重ねのアルミカップは、ほぼ同じ位置にあるので、両者のその位置での速さは等しいといえる。(×)
② 時刻0.6s以降の1枚だけのアルミカップは、ほぼ等間隔に並んでいるので、時刻0.6s以降の1枚だけのアルミカップの力学的エネルギーは保存されているといえる。(×)
③ 時刻0sから時刻0.6sまでの5枚重ねのアルミカップの間隔は、少しずつ広がっているので、その間は、5枚重ねのアルミカップは加速を続けているといえる。(○)
実験1の結果について、AさんとBさんが次のように会話をしている。
Aさん「どうして1枚だけのアルミカップの方がゆっくりと落下したのかな?」
Bさん「図1を見ると、1枚だけのアルミカップは、時刻0.6s以降、ほぼ等間隔に並んでいるから0.1sあたりの落下距離は一定といえそうだよね。」
Aさん「確かにそうだね。でも、それまでは加速していたはずだから、アルミカップの質量を$m$、加速度の大きさを$a$、重力の大きさを$W$、空気の抵抗力の大きさを$f$として、鉛直下向きを正として、運動方程式を立ててみると、【イ】となるね。
Bさん「アルミカップの速さが大きくなると、空気の抵抗力が大きくなるね。だから終端速度に達するんだね。」
問4【運動方程式】
上の会話文中の【イ】にあてはまる数式として正しいものはどれか。・$ma = W - f$
Bさん「実験1は同じアルミカップでの比較だったから、次は素材を変えて、一方を紙のカップで実験をしてみよう。」
問5【空気抵抗】
実験2の結果を踏まえて、AさんとBさんがそれぞれ一つずつ考えを挙げた。Aさんの考えとBさんの考えの正誤について、適切な組合せはどれか。
ただし、この実験では2枚重ねのアルミカップと4枚重ねの合紙カップの形や大きさの差は無視できると仮定する。
Aさんの考え:質量、形、大きさを揃えた比較実験であるので、アルミよりも紙の方が空気抵抗を受けやすかったといえる。(○)
Bさんの考え:2枚重ねのアルミカップの方が先に床に達したので、4枚重ねの合紙カップよりも手をはなす瞬間の重力による位置エネルギーが大きかったといえる。(×)
問6【加速度の方程式】
図2のように、AさんとBさんはアルミカップ(または合紙カップ)にはたらく力を書き、運動方程式を変形させた加速度の式を用いて、実験3の結果について下のように考察をした。考察文中の空欄にあてはまる比として正しいものはどれか。<AさんとBさんの考察>
3枚重ねのアルミカップと9枚重ねの合紙カップは、ほぼ同時に床に達したので、各時刻における加速度の大きさはそれぞれ等しいと考えられる。
この仮定が正しいとすると、質量比は$2 : 3$なので、各時刻における3枚重ねのアルミカップと9枚重ねの合紙カップにはたらく空気の抵抗力の大きさの比は、【$3 : 2$】であるといえる。
Aさん「アルミカップ1枚と合紙カップ3枚でも同じ質量比になると思うけれど、この場合も同時に床に達するかな?」
Bさん「じゃあ、それは今度やってみようよ。」
先生「二人ともよく頑張ったね。さらに新しい課題が見つかったから、このまま探究を続けてみよう。」
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