お盆。
1 由来は盂蘭盆会
お盆は日本の伝統行事である。どのような風習なのかは検索すれば簡単に分かるけれど、由来を詳しく調べるには、多少の仏教についての知識が要るかもしれない。
2 目連伝説
ある日、神通第一の目連が亡くなった母親の様子を見ると、餓鬼道に堕ちてのどの渇きと空腹に苦しんでいた。目連は哀れな母親を助けたいと思い、釈尊に相談すると助ける方法を教えてくれた。
「安居の最後の日に、すべての修行僧に食べ物を施しなさい。
そうすれば、母親にもその施しの一部が届くだろう。」
目連がそれを実行すると、餓鬼道にもその功徳が伝わり、母親の口にも食べ物が入り救われた。
多くのお寺でお盆にお施餓鬼の法要が行われる由来である。
安居について補足しておきたい。
安居は雨安居とも言われる。
雨季になると植物が生え、虫など小動物が活発に活動するようになる。
そのような時季にみだりに外出すると、植物や小動物を踏み殺してしまう可能性がある。
よって、修行僧は雨季には外出を控え、修行に専念することになる。
これが安居である。
3 民間信仰
お盆はもともとは仏教行事であったけれど、今では日本の伝統的な恒例イベントになっている。多くの会社がお盆休みと称して数日間、特別に休業したり、従業員に特別にお休みを付与している。
多くの人にとってお盆は、もはや仏教的な意味も薄れて、単に夏季休業、夏季休暇がもらえる時季という認識だろう。
もともとは仏教行事だったものが、民間信仰として広く民衆の間に定着した。
迎え火、盆踊り、花火大会、送り火などなど。
もちろん、お墓参りやお寺での法要など、仏教的な行事も根強く受け継がれている。
合理的に考えれば、夏休みの一種でしかないので、特別な行事など必要ないのかもしれない。
伝統は、昔からそうしているという伝統それ自体にしか、その根拠がないのである。
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