第156条【司法長官】、第157条【検事総長】、第158条【検事総長の解任及び辞任】
第9章【行政部】
第4部【その他の役職】
第156条 司法長官を設置する。2 大統領は司法長官を指名し、下院の同意を得た上でこれを任命する。
3 司法長官の任命資格は、最高裁判所長官の任命資格と同じである。
4 司法長官は、
(a)政府の主要な法律顧問である。
(b)国家政府が当事者となる、刑事訴訟以外の裁判又はその他の法的手続きにおいて、これを代表する。
(c)議会の法律又は大統領によって与えられた、その他の職務を執行する。
5 司法長官は、裁判所の許可を得て、政府が当事者ではない民事訴訟において、裁判所の補佐として出廷する権限を有する。
6 司法長官は、法の支配を推進、擁護及び維持し、公共の利益を保護しなければならない。
7 司法長官の権限は、直接、又は一般的若しくは特別な指示に従って行動する下級公務員によって行使することができる。
第157条 検事総長を設置する。
2 大統領は検事総長を指名し、下院の同意を得た上でこれを任命する。
3 検事総長の任命資格は、高等裁判所裁判官の任命資格と同じである。
4 検事総長は、犯罪行為に関する情報又は告発を調査するよう国家警察庁警察総監に指示する権限を有し、警察総監はその指示に従わなければならない。
5 検事総長の任期は8年とし、再任することはできない。
6 検事総長は、国家の公訴権を行使し、
(a)裁判所(軍法会議を除く)において、あらゆる犯罪に関して刑事訴訟を開始及び遂行することができる。
(b)他の者又は機関の許可を得て、裁判所(軍法会議を除く)において開始又は遂行されている刑事訴訟を引き継ぐことができる。
(c)第7項及び第8項に従って、検事総長が提起又は(b)に基づき引き継いだ刑事訴訟を、判決前のいかなる段階でも中止することができる。
7 第6項(c)に基づく訴訟の中止が、検察側の陳述終了後に行われた場合、被告人は無罪となる。
8 検事総長は、裁判所の許可を得なければ、公訴を中止することができない。
9 検事総長の権限は、直接、又は一般的若しくは特別の指示に従って行動する下級公務員によって行使することができる。
10 検事総長は、刑事訴訟の開始について、いかなる者又は機関の同意も必要とせず、その権限又は職務の執行について、いかなる者又は機関の指揮又は統制の下にも置かれない。
11 検事総長は、本条で定められた権限を行使する場合、公共の利益、司法行政の利益及び法的手続きの濫用を防止及び回避する必要性に留意するものとする。
12 議会は、検事総長以外の官憲に、公訴の権限を与える法律を制定することができる。
第158条 検事総長は、以下の理由によってのみ解任することができる。
(a)精神的又は身体的な能力喪失による職務執行の不能。
(b)第6章の不遵守。
(c)破産
(d)無能力
(e)重大な不正行為又は不品行。
2 検事総長の解任を求める者は、解任の根拠となる事実を記載した書面により、公務委員会に申立書を提出することができる。
3 公務委員会は申立書を審議し、第1項の事由の存在を示すものであると認められる場合、その申立書を大統領に送付するものとする。
4 大統領は、申立てを受理及び審査してから14日以内に、第5項により大統領の処分が行われるまで検事総長の職務を停止し、公務委員会の助言に従って、以下の者で構成される裁判を任命するものとする。
(a)上級裁判所の裁判官若しくはその職にあった者、又はその任命資格を有する者の中から4名。
(b)弁護士業務の規制を所管する法定の機関により指名された、15年以上の経験を有する弁護士1名。
(c)その他、公務経験者2名。
5 裁判は迅速に問題を調査し、事実関係を報告して大統領に勧告する。大統領は裁判の勧告に従うものとする。
6 第4項の規定により停職された検事総長は、解任されるまで又は復職するまで、報酬の半額を受け取る権利を有する。
7 第4項の規定により任命された裁判は、その構成員から裁判長を選任するものとする。
8 第4項の規定により任命された裁判は、その手続きの規制に責任を負うものとする。
9 検事総長は、大統領に書面で通知することにより、辞任することができる。
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