第163条【最高裁判所】、第164条【控訴裁判所】、第165条【高等裁判所】
第10章【司法部】
第2部【上級裁判所】
第163条 最高裁判所を設立する。その構成は以下のとおりである。(a)裁判長である最高裁判所長官。
(b)最高裁判所副長官は、
(i)最高裁判所長官を代行する。
(ii)副裁判長である。
(c)その他5名の裁判官。
2 最高裁判所は、5名の裁判官でこれを構成すれば、その手続きを適切に遂行することができる。
3 最高裁判所は、
(a)第140条に基づき生じる大統領選挙についての紛争を、審理及び決定する専属の第一審管轄権を有する。
(b)最高裁判所は、第4項及び第5項に従って、以下の上告を審理及び決定する上訴管轄権を有する。
(i)控訴裁判所からの上訴。
(ii)国家の法律で規定される、その他の裁判所又は裁判からの上訴。
4 以下の事項については、控訴裁判所から最高裁判所に上告する。
(a)この憲法の解釈又は適用に関する、あらゆる事案における権利。
(b)最高裁判所又は控訴裁判所が、第5項に従い、一般的な公共の重要性に関する事項であると認定する、その他の事案。
5 第4項(b)の控訴裁判所の認定は、最高裁判所の審査により、確認、修正又は否認されることがある。
6 最高裁判所は、カウンティ政府に関する事項について、国家政府、国家機関又はカウンティ政府の要請により、勧告的意見を表明することができる。
7 最高裁判所以外のすべての裁判所は、最高裁判所の判決に拘束される。
8 最高裁判所は、その裁判権の行使について規則を定める。
9 議会の法律は、最高裁判所の業務について規定を設けることができる。
第164条 控訴裁判所を設置する。その構成は以下のとおりである。
(a)12名以上の、議会の法律で定める数の裁判官で構成する。
(b)議会の法律で定めるところにより、組織及び管理する。
2 控訴裁判所裁判官の互選により、控訴裁判所長官を置く。
3 控訴裁判所は、以下の控訴を審理する管轄権を有する。
(a)高等裁判所からの上訴。
(b)議会の法律で規定される、その他の裁判所又は裁判からの上訴。
第165条 高等裁判所を設置する。その構成は以下のとおりである。
(a)議会の法律で定める数の裁判官で構成する。
(b)議会の法律で定めるところにより、組織及び管理する。
2 高等裁判所裁判官の互選により、高等裁判所長官を置く。
3 第5項に従い、高等裁判所は、
(a)刑事及び民事に関する無制限の第一審管轄権を有する。
(b)基本的人権に属する権利又は基本的自由が、否定、違反、侵害又は脅かされているか否かを判断する管轄権を有する。
(c)第144条に基づき任命された裁判を除いて、ある者の解任を審議するためにこの憲法に基づき任命された裁判の決定に対する、上訴を審理する管轄権を有する。
(d)高等裁判所は、この憲法の解釈に関するあらゆる問題を審理する管轄権を有し、以下の事項を決定する。
(i)あらゆる法律について、この憲法と矛盾又は抵触するか否か。
(ii)この憲法又は法律の権限に基づいて行われる事項が、この憲法と矛盾又は抵触するか否か。
(iii)カウンティ政府についての国家機関の憲法上の権限、及び政府間の憲法上の関係に関する事項。
(iv)第191条に基づく法の競合に関する問題。
(e)法律で定められたその他の、第一審又は上訴管轄権を有する。
4 第3項(b)又は(d)の規定による実質的な法律問題を提起していると裁判所が認定した事項については、最高裁判所長官が選任する、3名以上の奇数の裁判官によって審理される。
5 高等裁判所は、以下の事項について管轄権を有しない。
(a)この憲法に基づき最高裁判所の専属的管轄権に属する事項。
(b)第162条第2項に規定する裁判所の管轄権に属する事項。
6 高等裁判所は、下級裁判所及び司法若しくは準司法的権限を行使する個人、団体又は機関に対する監督的管轄権を有する。ただし、上級裁判所に対する監督的管轄権は有しない。
7 第6項の目的のために、高等裁判所は、第6項の下級裁判所又は個人、団体若しくは機関における手続きの記録を求め、司法の公正な運営を確保するために適切と考える命令又は指示をすることができる。
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