第189条【国家及びカウンティ政府間の協力関係】、第190条【カウンティ政府への支援】、第191条【法律の競合】
第11章【自治体】
第5部【政府間の関係】
第189条 いずれの政府も、(a)他の政府の職務的及び制度的な一体性、並びにその憲法上の地位及び制度を尊重し、カウンティ政府の場合はカウンティ内において、その職務を執行し、権限を行使するものとする。
(b)他の政府の立法を支援、支持及び協議し、必要に応じてその法律を施行するものとする。
(c)情報交換、政策及び行政の調整並びに能力強化のために、他の政府と連携するものとする。
2 各政府間及び各カウンティ政府間において、職務の執行及び権限の行使について協力するものとし、その目的のために、合同委員会及び合同機関を設置することができる。
3 政府間のいかなる紛争においても、各政府は、国家の法律で定める手続きによる場合を含め、紛争を解決するためにあらゆる合理的な努力をしなければならない。
4 国家の法律は、政府間の紛争を交渉、調停及び仲裁を含む、代替的な紛争処理制度によって解決するための手続きを規定するものとする。
第190条 議会は立法によって、カウンティ政府の職務の執行に対する適切な支援を保障するものとする。
2 カウンティ政府は、国家の法律が定める要件に依拠する財政管理制度を運用するものとする。
3 議会は立法によって、カウンティ政府が以下の状況にある場合の、国家政府による関与について規定するものとする。
(a)その職務を執行することができない場合。
(b)国家の法律が定める要件に依拠する財政管理制度を運用していない場合。
4 第3項に基づく立法は、特に、国家政府に以下の権限を付与することができる。
(a)カウンティ政府の職務の執行及び所定の要件に依拠する財政管理制度の運用を保障するために、適切な措置を講じること。
(b)必要であれば、関連する職務の責任を引き受けること。
5 第3項に基づく立法は、
(a)国家政府が講じようとする措置について、カウンティ政府への通知を要件とする。
(b)国家政府が必要な措置のみを講じることを許可する。
(c)国家政府が関与する場合、カウンティ政府がその職務に対する完全な責任を取り戻すよう、支援する措置を講じることを要件とする。
(d)上院が、国家政府による関与を終了させるための手続きを規定する。
第191条 本条は、国家及びカウンティ政府の共同管轄事項に関して、国家及びカウンティの法律間に矛盾がある場合に適用される。
2 以下の場合、国家の法律がカウンティの法律より優越する。
(a)国家の法律がケニア全土に一律に適用され、第3項に規定する条件が満たされる場合。
(b)国家の法律が、以下のカウンティによる不合理な行為を防止することを目的としている場合。
(i)ケニアまたは他国の経済、健康、安全保障の利益を害する行為。
(ii)国家の経済政策の実施を阻害する行為。
3 第2項(a)の条件は以下のとおりである。
(a)国家の法律が、個々のカウンティが制定した法律では効果的に規制できない事柄を規定する場合。
(b)効果的に対処するために、全国的な統一性を必要とする事柄を国家の法律で規定し、国家の法律が以下の事項を定めることによってその統一性を確保する場合。
(i)規範及び基準
(ii)国家政策
(c)国家の法律が以下の事項のために必要である場合。
(i)国家安全保障の維持。
(ii)経済的統合の維持。
(iii)商品、サービス、資本及び労働の移動に関する共同市場の保護。
(iv)カウンティの境界を越えた経済活動の促進。
(v)政府のサービスへの機会均等又は平等なアクセスの推進。
(vi)環境保護
4 第2項に規定するいずれの状況にも該当しない場合、カウンティの法律は国家の法律に優越する。
5 各政府の法律間の明白な矛盾を審理する場合、裁判所は、矛盾を回避する合理的な解釈を、矛盾を生じる他の解釈より優先させるものとする。
6 ある政府の法律の規定が他の政府の法律の規定に優越するとの裁判所の決定は、他の規定を無効とするものではないが、抵触する範囲で適用できないものとする。
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