第88条【独立選挙区割委員会】、第89条【選挙区割り】、第90条【政党名簿の議席配分】
第7章【国民の代表】
第2部【独立選挙区割委員会及び選挙区の画定】
第88条 独立選挙区割委員会を設立する。2 以下の者は、委員会の委員として任命される資格を有しない。
(a)過去5年以内に、以下の役職に就任又は立候補したことがある者。
(i)議会又はカウンティ議会の議員。
(ii)政党の執行部の構成員。
(b)国家公務員
3 委員会の委員は、他の公職を兼ねることができない。
4 委員会は、国民投票及び公選の団体又はこの憲法が設置する役職の選挙、並びに議会の法律が定めるその他の選挙の実施又は監督について、特に、以下の事項について責任を負う。
(a)国民の継続的な有権者登録。
(b)有権者名簿の定期的な更新。
(c)選挙区及び区の区割り。
(d)政党が選挙のために候補者を指名する手続きの規制。
(e)指名に関連又は起因する紛争を含むが、選挙に関する申立て及び選挙結果の公示後の紛争を除く、選挙に関する紛争の解決。
(f)選挙の候補者の登録。
(g)有権者教育
(h)選挙の監督、監視及び評価の推進。
(i)選挙に関して候補者又は政党のために支出される資金の規制。
(j)選挙に参加する候補者及び政党のための行動規範の作成。
(k)政党による候補者の指名に関する第82条第1項(b)により制定された法律の遵守の監視。
5 委員会は、この憲法及び国内法に従って、その権限を行使し、その職務を執行するものとする。
第89条 第97条第1項(a)に規定する下院議員の選挙のために、290の選挙区を設ける。
2 独立選挙区割委員会は、8年以上12年以下の間隔で選挙区の名称及び境界を見直すものとする。ただし、いかなる見直しも、議会議員総選挙の少なくとも12か月前に完了しなければならない。
3 委員会は、区の数、名称及び境界を定期的に見直すものとする。
4 委員会による見直し完了後12か月以内に総選挙が行われる場合、新しい境界はその選挙のためには効力を有しない。
5 各選挙区の境界は、その選挙区の住民数が、可能な限り人口割当に等しくなるようにしなければならない。ただし、以下の事項を考慮して、第6項に規定する方法で、選挙区の住民数を人口割当より多く又は少なくすることができる。
(a)地理的特性及び都市中心部。
(b)利害を有するコミュニティ、歴史的、経済的及び文化的な関連性。
(c)通信手段
6 選挙区又は区の住民数は、以下の人数以下の差であれば、人口割当より多くても又は少なくてもよい。
(a)都市及び人口の少ない地域は40%
(b)その他の地域は30%
7 委員会は、選挙区及び区の境界を見直す際に、
(a)すべての利害関係者と協議しなければならない。
(b)各選挙区及び各区の住民数が、可能な限り人口割当と等しくなるよう、漸進的に努力しなければならない。
8 必要であれば、委員会は選挙区の名称及び境界、並びに区の数、名称及び境界を変更するものとする。
9 第1項、第2項、第3項及び第4項に従い、委員会が決定した選挙区及び区の名称及び境界の詳細は、官報によって公示され、公示後最初の議会の解散時に発効する。
10 何人も、本条に基づき行われた委員会の決定について、高等裁判所に審査を申し立てることができる。
11 本条に基づく決定に対する審査の申立ては、決定が官報によって公示された日から30日以内に行い、申立ての日から3か月以内に審理及び決定をしなければならい。
12 本条において「人口割当」とは、ケニアの人口を、本条に基づきケニアを分割したその選挙区又は区の数で割った数を意味する。
第90条 第97条第1項(c)及び第98条第1項(b)、(c)及び(d)の規定による議会の議席、並びに第177条第1項(b)及び(c)の規定によるカウンティ議会議員の選挙は、政党名簿の使用による比例代表制に基づいて実施するものとする。
2 独立選挙区割委員会は、第1項に規定する議席の選挙の実施及び監督に責任を負い、以下の事項を保障するものとする。
(a)総選挙に参加する各政党は、第1項に規定するすべての議席を当該政党が有するとした場合に当選することになるすべての者の名簿を、法律の定める期間内に指名及び提出すること。
(b)第98条第1項(b)に規定する議席の場合を除いて、各政党名簿は、適切な数の適格な候補者から構成され、男女の候補者が名簿の優先順に交互に記載されること。
(c)カウンティ議会の議席の場合を除いて、各政党名簿はケニア国民の地域的及び民族的多様性を反映すること。
3 第1項に規定する議席は、総選挙において政党の候補者が獲得した議席の総数に応じて、当該政党に配分されるものとする。
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