第138条【司法権】、第139条【司法権の原則】、第140条【死刑の適用】
第4編【国家機構】
第8章【司法府】
第138条 司法を運営する権限は国民に由来し、司法府は、憲法及び法律に従い、その階層的機関を通して行使する。あらゆる訴訟において、憲法の規定と法規の間に矛盾が存在する場合、裁判官は前者を優先する。同様に、裁判官は下位のその他の規則よりも法規を優先する。
第139条 司法上の職務の原則及び権利は以下の通りである。
(1)司法上の職務の単一性及び排他性。
軍事及び仲裁を除いて、独立した司法権は存在しないし、これを設置することもできない。
委託又は委任による訴訟は存在しない。
(2)司法上の職務の執行における独立性。
いかなる機関も、司法機関に係属中の事件を取り扱い、又はその職務の執行を妨害することはできない。既判力のある判決を無効とし、訴訟を短縮し、判決を変更し、又はその執行を遅らせることもできない。これらの規定は恩赦権又は議会の調査権に影響を与えることなく、その行使は訴訟を妨げることなく、司法上の効力を有しない。
(3)適正手続及び司法上の保護の遵守。
何人も、法律で事前に定められた管轄を逸脱し、事前に定められた手続き以外の手続きに付され、又はその名称が何であれ、その目的のために設置された特別裁判所若しくは特別委員会によって裁判されることはない。
(4)訴訟の公開。法律に別段の定めがある場合を除く。
公務員の責任、報道を通して行われた犯罪、憲法が保障する基本的権利に関する犯罪の訴訟は、常に公開される。
(5)単なる形式的な判決を除いて、全ての事件において、適用される法律及び根拠となる事実を明示して、司法上の決定を書面で行うこと。
(6)複数回の審理。
(7)刑事訴訟における司法上の誤り及び恣意的な拘禁に対して、生じる得る責任を損なうことなく、法律の定める形式によって補償すること。
(8)法律の不備又は欠陥のために司法の執行を怠らないという原則。
そのような事件では、法律の一般原則及び慣習法が適用されるものとする。
(9)刑法及び権利を制限する規則は類推適用されないという原則。
(10)訴訟を経ない処罰禁止の原則。
(11)刑事法規の間に疑義又は矛盾がある場合には、被告人に最も有利な法律を適用すること。
(12)欠席裁判で有罪判決を受けないという原則。
(13)執行可能な決定がなされ、終了した訴訟の再開禁止。恩赦、赦免、最終的な棄却及び時効は既判力を有する。
(14)訴訟のいかなる段階においても、弁護権を奪われないという原則。全ての者は、拘禁された原因又は理由を直ちに書面で通知される。官憲によって召喚又は拘禁された場合、自ら選任した弁護士と個人的に連絡し、助言を受ける権利を有する。
(15)全ての人は、拘禁の原因又は理由を直ちに文書で通知されるべきであるという原則。
(16)資力の乏しい者のための、司法の運営の無償及び無償の弁護の原則。法律の定める事件では全ての人に認められる。
(17)法律に従い、治安判事の任命及び解任に国民が参加すること。
(18)行政府は訴訟に必要な協力を行う義務を負うこと。
(19)憲法又は法律の定める方式で任命されていない者による、司法上の職務の執行禁止。司法機関はその責任において、その者に役職を付与することはできない。
(20)法律の制限の下で、全ての人が司法上の決定及び判決に対する、分析及び批判を行う権利を有するという原則。
(21)収監者及び受刑者の適切な施設を利用する権利。
(22)刑務所の制度は、受刑者の再教育、リハビリテーション及び社会復帰を目的とするという原則。
第140条 死刑は、法律及びペルーが締結している条約に従い、戦時における反逆罪及びテロ犯罪に対してのみ適用することができる。
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