第5条【国家元首、任務】、第6条【大統領選挙、任期、再選、大統領職空位時の手続き、被選挙権】、第7条【大統領の宣誓及び就任、兼任及び兼職の禁止】、第8条【軍の長、安全保障、大使の任命、外国大使の信任状受領、法律の公布、憲法評議会への付託、恩赦権、行政権の行使、栄典の授与、国民議会の解散】、第9条【緊急事態の宣言、戒厳令】、第10条【首相及びその他の閣僚の任免、閣僚評議会の主宰、権限の委任、職務不能時の手続き】
第2編【行政権】
第1章【大統領】
第5条 共和国大統領は国家元首である。2 国民全体によって選挙され、国民統合を体現する。
国の政策を定める。
憲法の遵守を保障する。
その仲裁を通して、公権力の正常な運営を保障する。
国家の独立、領域保全、国家の永続性及び継続性並びに国際条約及び協定の遵守を保障する。
第6条 共和国大統領は、普通、直接、平等かつ秘密選挙において、投票の過半数によって選出される。
2(新) 共和国大統領の任期は7年とする。再選することができる。
3 選挙は、現職の共和国大統領の任期満了日の20日以上前から50日前までに実施される。
4(新) 死亡、辞任又は憲法評議会の定める確定的な障害によって共和国大統領職が空位となった場合、新大統領選出のための選挙は、空位発生から20日以上120日以内に実施しなければならない。
(a)新共和国大統領が選出されるまで、元老院議長が当然、暫定共和国大統領となる。これが執行できない場合、元老院の優先順位に従ってその代行者が執行する。
(b)暫定共和国大統領(元老院議長又はその代行者)は、憲法又は政府の構成を改正することはできない。国民投票を実施することはできない。共和国大統領選挙の候補者となることはできない。
(c)ただし、大統領選挙を実施するために必要な場合、暫定共和国大統領は、憲法評議会と協議した上で、政府の構成を変更することができる。
5 共和国大統領の候補者は、出身によるカメルーン市民で、市民的及び政治的な権利を享受し、選挙期日に35歳以上でなければならない。
6 共和国大統領の選挙制度は、法律によって定めるものとする。
第7条 選出された共和国大統領は、宣誓後に就任する。
2 議会、憲法評議会及び最高裁判所の構成員が出席する厳粛な会議において、カメルーン国民の前で宣誓する。
宣誓は国民議会議長が執り行う。
3 宣誓の様式並びに第1項及び第2項の規定の適用方法は、法律によって定めるものとする。
4 共和国大統領職は、その他の公選の公職又は職業活動と両立しない。
第8条 共和国大統領は、公的生活の全ての行為において国家を代表する。
2 軍の長である。
3 共和国の内外の安全を保障する。
4 外国の権力機関に対して大使及び特使を任命する。外国の権力機関からの大使及び特使の信任状を受領する。
5 共和国大統領は、第31条に規定する条件に従い、法律を公布する。
6 共和国大統領は、憲法の定める条件に従い、憲法評議会に事案を付託する。
7 高等司法評議会と協議した上で、恩赦権を行使する。
8 規制権限を行使する。
9 国の公共事業を創設及び組織する。
10 国の文官及び武官を任命する。
11 共和国の勲章及び褒章を授与する。
12 共和国大統領は、必要に応じて、政府並びに国民議会及び元老院の事務局と協議した上で、国民議会を解散することができる。新たな国民議会の選挙は、以下の第15条第4項の規定に従って実施される。
第9条 共和国大統領は、状況に応じて、政令によって緊急事態を宣言することができる。これは、法律の定める条件の下で、大統領に特別な権限を付与するものである。
2 共和国大統領は、共和国の領域、生命、独立又は機関の完全性を脅かす重大な危険が生じた場合、政令によって戒厳令を宣言し、必要と認めるあらゆる措置を講じることができる。メッセージによって国民に通知するものとする。
第10条 共和国大統領は、首相及びその推薦によってその他の政府の閣僚を任命する。
その権限を定める。
これを罷免する。
閣僚評議会を主宰する。
2 共和国大統領は、その権限の一部を、首相、その他の政府閣僚及び国の行政の特定の幹部職員に、それぞれの権限の範囲内で委任することができる。
3 共和国大統領は、一時的な障害がある場合は首相に、又はこれに障害がある場合はその他の政府閣僚に、明示的な委任によってその職務の一部を委任するものとする。
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