第114条【憲法問題に関する最高管轄機関、憲法裁判所の任務】、第115条【憲法裁判所の構成、憲法裁判所裁判官の任命、要件、身分保障並びに兼任及び兼職の禁止、組織法】、第116条【憲法裁判所長官の選出及び任期】、第117条【憲法裁判所の職務】、第118条【その他の管轄権】、第119条【憲法裁判所長官の権限】、第120条【人権及び公共の自由の侵害に関する法律又は訴訟の付託、公布期間の停止】、第121条【法律及びあらゆる規制文書の合憲性の判断、一般的な人権侵害の裁判】、第122条【市民による違憲訴訟】、第123条【公布前の組織法並びに施行前の国民議会、メディア最高機関及び経済社会評議会の内部規則の憲法裁判所への付託】、第124条【違憲と宣言された規定の効力、憲法裁判所の判決の効力】
第5編【憲法裁判所】
第114条 憲法裁判所は、憲法問題に関する国の最高管轄権を有する。法律の合憲性を判断し、基本的人権及び公共の自由を保障する。機関の運営及び公権力の活動を規制する機関である。第115条 憲法裁判所は7人の裁判官によって構成され、そのうち4人は国民議会事務局が、3人は共和国大統領が任命する。憲法裁判所のいかなる裁判官も、10年を超えて在任することはできない。
憲法裁判所の裁判官になるには、専門家としての能力に加えて、高潔かつ非常に誠実でなければならない。
憲法裁判所は、以下の者によって構成される。:
・15年以上の経験を有する裁判官3名。そのうち2人は国民議会事務局が、1人は共和国大統領が任命する。
・15年以上の経験を有する一流の法律家、法学教授又は法律実務家2名。そのうち1人は国民議会事務局が、他の1人は共和国大統領が任命する。
・専門家として高名な人物2名。1人は国民議会事務局が、他の1人は共和国大統領が任命する。
憲法裁判所の裁判官は、その任期中、身分を保障される。憲法裁判所及び最高裁判所事務局の合同会議による許可がない限り、訴追又は逮捕されることはない。ただし、現行犯の場合を除く。この場合、憲法裁判所長官及び最高裁判所長官に、直ちに、遅くとも48時間以内に通知しなければならない。
憲法裁判所の裁判官の職務は、政府閣僚としての地位、公選の役職、文官又は武官の公務員、職業活動並びに第50条第3項に規定する場合を除いて、国民の代表者としての職務と両立しない。
組織法により、憲法裁判所の組織及び運営並びにその手続き、特にその付託期間、その裁判官の免責及び懲戒制度について定めるものとする。
第116条 憲法裁判所長官は、裁判所の裁判官の中から互選によって選出される。その任期5年とする。
第117条(新)
憲法裁判所は、
以下の事項について裁判しなければならない。:
・公布前の組織法の合憲性。
・国民議会、メディア最高機関及び経済社会評議会の施行前の内部規則が憲法に適合するか否か。
・基本的人権及び公共の自由一般を侵害すると認める法律及び規制行為の人権侵害に関する合憲性。
・国家機関の間の管轄権の紛争。
・共和国大統領及び副大統領並びに国民議会議員の選挙に関する紛争。
共和国大統領及び副大統領の選挙の正当性を保障し、苦情を審査し、自ら指摘した不正行為について裁判し、その投票結果を公示し、国民投票の正当性について裁判し、その結果を公示する。
紛争が生じた場合、議員選挙の正当性について裁判する。
高等法院の職権上の裁判官である。ただし、その院長を除く。
第118条 また、第50条、第52条、第57条、第77条、第86条、第100条、第102条、第104条及び第147条に規定する事件についても管轄権を有する。
第119条(新)
憲法裁判所長官は、以下の権限を有する。:
・共和国大統領の宣誓を執り行う。
・第58条及び第68条に規定する場合、共和国大統領に意見を述べる。
第120条 憲法裁判所は、人権及び公共の自由の侵害に関する法律又は訴訟を付託されてから15日以内に判決を下すものとする。ただし、緊急を要する場合、政府の要求により、この期間は8日に短縮される。この場合、憲法裁判所への付託により、法律の公布期間は停止される。
第121条 憲法裁判所は、共和国大統領又は国民議会議員の要求により、公布前の法律の合憲性について裁判する。
基本的人権及び公共の自由を侵害すると認める法律及びあらゆる規制文書の合憲性について、職権で裁判する。より一般的に人権侵害について裁判し、8日以内にその判決を下すものとする。
第122条 全ての市民は、法律の合憲性について、直接又は裁判所における自己に関係する事件において提起する違憲の訴えの手続きを通して、憲法裁判所に提訴することができる。憲法裁判所が30日以内に判決を下すまで、これを停止しなければならない。
第123条 公布前の組織法並びに施行前の国民議会、メディア最高機関及び経済社会評議会の内部規則は、憲法裁判所に付託しなければならない。同裁判所は、憲法適合性について裁判するものとする。
第124条 違憲と宣言された規定は、公布又は適用することができない。
憲法裁判所の判決に対して上訴することはできない。
公権力並びに全ての文民、軍事及び司法当局を拘束する。
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