第240条【定義】、第241条【構成】、第242条【兼任及び兼職の禁止】、第243条【権限】、第244条【違憲審査の要求】、第245条【合憲性の事前確認】、第246条【上訴】、第247条【判決の上訴不可及び拘束力】
第11編【憲法評議会】
第240条 憲法評議会は、特に憲法制定法の性質を有する事項に関する司法の運営について権限を有する主権機関である。2 憲法評議会の組織、運営、規範行為の合憲性及び適法性を審査及び統制するプロセス並びにその他の権限は、法律によって定めるものとする。
第241条 憲法評議会は、以下の方法によって任命される7人の参事裁判官によって構成される。:
(a)共和国大統領が任命する1人の参事裁判官。憲法評議会を主宰する。
(b)共和国議会が比例代表制の基準に基づいて任命する5人の参事裁判官。
(c)最高司法裁判官会議が任命する1人の参事参事官。
2 憲法評議会の参事裁判官の任期は5年とし、更新することができる。独立性、身分保障、公平性及び無答責の保障を享受する。
3 憲法評議会の参事裁判官は、任命時に35歳以上であり、10年以上司法官若しくはその他の法律実務に従事し、又は法学教育の経験を有していなければならない。
第242条 憲法評議会の在任中の参事裁判官は、それぞれの機関の事前の許可を得て、教育、法律研究又はその他の科学的、文学的、芸術的及び技術的な普及及び出版を行う場合を除いて、その他の公的又は私的な職務を遂行することはできない。
第243条 憲法評議会は以下の権限を有する。:
(a)法律の違憲性及び国家機関の規範行為の違法性を審査及び宣言すること。
(b)主権機関の間の管轄権の紛争を解決すること。
(c)国民投票の合憲性を事前に確認すること。
(d)共和国大統領による州知事及び郡行政長官の解任を審査及び決議すること。
(e)閣僚評議会による州、郡及び自治体議会の解散の審査及び決議。
2 憲法評議会は以下の責任を負う。:
(a)共和国大統領の候補者の法的要件の確認。
(b)共和国大統領の永続的な能力喪失を宣言すること。
(c)共和国大統領の死亡及び失職を確認すること。
(d)選挙に関する不服申立て及び苦情を最終審として審査し、法律の規定に基づいて選挙結果を承認及び公示すること。
(e)最終審として政党及びその連合の結成の適法性を決定し、その名称、略称及びシンボルの適法性を審査し、憲法及び法律に基づいてその解散を命じること。
(f)選挙について争う行動及び政党機関の決議を裁判すること。
(g)議会議員の職務に関する紛争を目的とする訴訟の判決。
(h)憲法及び法律の定める兼職禁止に関する訴訟の判決。
3 憲法評議会は、法律によって付与されるその他の権限を行使する。
第244条 憲法評議会は、法律及び国家機関のその他の規範行為の違憲性を、その有効期間中いつでも、一般的拘束力をもって審査及び宣言する。
2 以下の者は憲法評議会に対して、法律の違憲性又は国家機関の規範行為の違法性を宣言するよう要求することができる。:
(a)共和国大統領
(b)共和国議会議長
(c)共和国議会の議員の3分の1以上。
(d)首相
(e)共和国検事総長
(f)オンブズマン
(g)2000人の市民。
3 法律により、違憲審査訴訟の許可制度について定めるものとする。
第245条 共和国大統領は憲法評議会に対して、公布のために大統領に提出された法律の合憲性の予防的審査を行うよう要求することができる。
2 合憲性の予防的審査は、第162条第2項に規定する期間内に要求しなければならない。
3 合憲性審査が要求された場合、公布期間は中断される。
4 憲法評議会が違憲でないと判決した場合、共和国大統領が憲法評議会の決定を通知された時から、新たな公布期間が開始する。
5 憲法評議会が違憲と判決した場合、共和国大統領は法律に拒否権を行使し、共和国議会に差し戻すものとする。
第246条 違憲性に基づく判決及びその他の決定は、以下の場合、憲法評議会に付託しなければならない。:
(a)違憲性を理由として規定の適用が拒否された場合。
(b)共和国検事総長又は検察庁が、違憲性又は違法性を理由に適用が拒否された規定の合憲性又は適法性について、上訴できない判決による抽象的審査を要求する場合。
2 法律により、この規定による上訴の許可制度について定めるものとする。
第247条 憲法評議会の判決は、全ての市民、機関及びその他の法人を拘束し、上訴の対象とならず、その他の決定に優先する。
2 本条に規定する判決に従わない場合、より重い犯罪を構成しない限り、違反者は不服従の罪となる。
3 憲法評議会の判決は、共和国官報として発行される。
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