第25条【大統領及び議会議員の法案提出権】、第26条【法案の可決、立法権の範囲】、第27条【立法権の範囲外の事項の帰属】、第28条【議会から大統領への委任立法、大統領令の効力】、第29条【政府提出法案及び議員立法法案の審議】、第30条【国民議会で可決した法案の元老院への送付、元老院による可決、修正又は否決、合同委員会】
第4編【行政権と立法権の関係】
第25条 共和国大統領及び議会議員は、法律の発議権を有する。第26条 法律は議会において議決される。
以下の事項は法律事項とする。:
(a)市民の基本的な権利、保障及び義務。
(1)個人の自由及び安全の保護。
(2)公共の自由の制度。
(3)労働の権利、労働組合の権利及び社会的保護。
(4)国防上の要請にかかわる市民の義務。
(b)人の身分及び財産制度。
(1)人の国籍、身分及び能力、婚姻制度、相続並びに贈与。
(2)民事及び商事の義務制度。
(3)動産及び不動産の制度。
(c)政治、行政及び司法の組織。
(1)共和国大統領の選挙制度、国民議会、元老院並びに州議会及び地方議会の選挙制度並びに国民投票制度。
(2)政治団体及び政党の制度。
(3)地方分権団体の組織、運営並びに権限及び財源の決定。
(4)国防組織の一般規則。
(5)司法組織及び司法秩序の創設。
(6)犯罪の決定及びあらゆる種類の刑罰の制定、刑事訴訟、民事訴訟、強制執行並びに恩赦。
(d)以下の財政及び財産の問題。
(1)通貨発行制度
(2)予算
(3)租税の創設並びにその課税標準、税率及び徴収手続の決定。
(3)土地及び鉱業の国有制度。
(4)天然資源の制度。
(e)経済及び社会活動の目的のプログラム。
(f)教育制度
第27条 法律の範囲外の事項については、規制権限によるものとする。
第28条 上記の第26条第2項に列挙する事項について、議会は、共和国大統領に対して、期間を限定し、特定の目的のために、命令を発行する権限を付与することができる。
この命令は発行され次第、発効する。
許可法の定める期間内に、承認のために国民議会及び元老院の事務局に提出するものとする。
承認されるまで規制的性質を有する。
議会が承認を拒否しない限り、引き続き効力を有する。
第29条 法案は、国民議会及び元老院の事務局に提出される。本会議で審議される前に、所管の委員会によって審査される。
2 本会議で審議される法案は、共和国大統領が提出する条文である。本会議で審議される法案は、その立法者が作成する条文である。
3 これらの条文は、審議中に修正の対象とすることができる。
第30条 国民議会が可決した条文は、国民議会議長が直ちに元老院議長に送付する。
2 元老院議長は、国民議会議長から送付された条文を受領した場合、元老院の審議に付すものとする。
3 元老院は、条文の受領から10日以内に、又は政府が緊急であると宣言した条文については5日以内に、:
(a)その条文を可決することができる。
この場合、元老院議長は可決した条文を国民議会議長に返送し、国民議会議長は48時間以内に、公布のために共和国大統領にこれを提出する。
(b)その条文を修正することができる。
修正案を回付するために、元老議員の単純多数決によって議決しなければならない。この場合、修正された条文は元老院議長により、再審議のために国民議会に回付される。
元老院が提案した修正案は、代議員の単純多数決によって可決又は否決される。
最終的に可決された条文は、国民議会議長により、公布のために共和国大統領に提出される。
(c)その条文の全部又は一部を否決することができる。
否決は、元老議員の絶対多数決によって議決しなければならない。
この場合、否決の理由書を添付した条文は、再審議のために元老院議長から国民議会に返付される。
(1)国民議会は、審議の後に、代議員の絶対多数決によって条文を可決する。
国民議会が最終的に可決した条文は、公布のために共和国大統領に提出される。
(2)絶対多数決で可決できなかった場合、共和国大統領は、元老院が否決した規定に関する共同条文を提案する合同委員会を招集することができる。
合同委員会が作成した条文は、共和国大統領が両議院に提出し、承認を得る。
共和国大統領の同意がない限り、いかなる修正も認められない。
合同委員会が共同条文を採択しなかった場合、又はその条文が両議院で可決されなかった場合、共和国大統領は、:
・国民議会に最終決定を要求することができる。
・法案の廃案を宣言することができる。
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