第290条【戒厳令及び緊急事態】、第291条【宣言の前提条件】、第292条【期間】、第293条【宣言の手続き】、第294条【宣言の限界】、第295条【個人の自由の制限】、第296条【拘禁】、第297条【主権機関の運営】、第298条【終結】
第15編【憲法の保障】
第1章【戒厳令及び緊急事態】
第290条 戒厳令又は緊急事態は、領域の全部又は一部において、現実若しくは明白な侵略、憲法秩序に対する重大な脅威若しくは妨害又は災害の場合のみ宣言することができる。2 戒厳令又は緊急事態の宣言は、根拠があり、その行使が停止又は制限される自由及び保障を明示しなければならない。
第291条 緊急事態の宣言は、その前提条件の重大性が低いか否かによるものとする。 いかなる場合も、比例原則が遵守され、特に使用される手段の範囲及びその期間は、憲法の正常な運用を速やかに回復するために厳密に必要なものに限定されなければならない。
第292条 戒厳令又は緊急事態の期間は、30日を超えてはならない。ただし、その宣言の理由が存続する場合、最長3日間延長することができる。
第293条 戒厳令又は緊急事態を宣言した場合、共和国大統領は、24時間以内に宣言をその根拠と共に共和国議会に提出し、承認を得るものとする。
2 共和国議会が開会中でない場合、臨時会を召集し、最長5日以内に開催しなければならない。
3 共和国議会は、遅くとも48時間以内に宣言を決議する。戒厳令又は緊急事態の期間中、会期を延長することができる。
第294条 戒厳令又は緊急事態の宣言は、いかなる場合も、生命、人格の完全性、市民権、刑法の不遡及、被疑者の弁護権及び宗教の自由に対する権利を制限又は停止することはできない。
第295条 戒厳令又は緊急事態の下で、個人の自由を制限する以下の措置を講じることができる。:
(a)特定の場所に留まる義務。
(b)拘禁
(c)通常の犯罪で起訴され、又は有罪判決を受けた者を収容することを目的としない建物での拘禁。
(d)信書の不可侵、通信の秘密、情報の提供並びに報道、ラジオ及びテレビの自由に関する制限。
(e)家宅捜索及び押収。
(f)集会及びデモの自由の停止。
(g)物品及びサービスの徴発。
第296条 戒厳令又は緊急事態の下で行われる拘禁は、以下の原則に従わなければならない。:
(a)被拘禁者が指示する者により、その親族又は信頼する人物に直ちに通知し、5日以内にその法的枠組みについて知らせなければならない。
(b)被拘禁者の氏名及び拘禁の法的枠組みを5日以内に公表しなければならない。
(c)被拘禁者は、最長10日以内に裁判所に引致されなければならない。
第297条 戒厳令又は緊急事態の宣言は、管轄権、主権機関の運営又はその長若しくは構成員の権利及び免責について、憲法の適用に影響を及ぼすものではない。
第298条 戒厳令又は緊急事態が終結した場合、共和国大統領は、その下で講じられた措置に関する詳細な情報及び影響を受けた市民の名簿を共和国議会に提供しなければならない。
2 戒厳令又は緊急事態の終結は、その執行者又は代理人が行った違法行為に対する責任を妨げることなく、その効力を終了させるものとする。
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